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すると突然あれが現れた。突然といっても瞬間的に現れたのではなく、暗順応ように少しずつ私の目に映るように現れた。
あれは、図書館に寄りかかるように植えてある木々のうちのひとつ、座っている私の位置から一番近い木の枝の上に立っていた。
体全体は雪のように真っ白で、大きさは15~20cmくらい、両手、両足があって、かわいらしい小人のような体裁をしていた。
その時私はとうとう自分の頭がおかしくなったのかと思った。
何回も強く瞬きをしてみた。何回も強く目を擦ってみた。夢かと思って漫画のように頬をつねってみたりもした。
しかしあれが消えることはなかった。
だんだん不安になってきた私は怯えた獣のように、ゆっくり辺りを見回してみた。
前の席の人も、自分の席の横を通っていく人も、私以外誰もそれに気づいてなかった。
いや、気づいていなかったのではない。それは私の願望だ。実際は私以外、誰も見えていなかったのだ。
私は錯乱状態に陥った。息遣いや鼓動が荒れ、上半身全体が脈を打ちはじめた。
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