吸血鬼文明開化覚書(ヴぁんぱいあぶんめいかいかおぼえがき)

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「なるほどぉ。言われてみりゃあ確かにその通りだ。さすがは八っつぁん、抜けるだけでなく頭使ってるねえ……でも、十文字ってのはどうなんだい? これこそよくわからねえが、十文字ってそんなに怖いもんなのかねえ?」 「ん? 十文字か。そいつはほら、薩摩は島津様の紋所だからよ。見たことあんだろ? ほら、島津様の御紋はこう丸を書いた中に十文字だ。ご維新(いっしん)の立役者、今を時めく島津様だ。俺達だけじゃねえ、人間様だって薩摩の方々には逆らえねえってなもんよ」 「ああ! なるほど。そいつは得心いった…」  と、そこで熊さん。納得してポンっと手を打った拍子にお尻の方でもブッと一発、大きいやつを思わずかましてしまいます。 「くあぁ~っ! ……臭っせえなあ、おい熊公! 俺には大蒜やらお天道様なんかより、やっぱそいつが何より応えるぜ……なんせ、その屁の原料はさっき食った〝薩摩〟芋なんだからよ」  お後がよろしいようで……。                                         (吸血鬼文明開化覚書 了)
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