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この時点ですでに僕より少し右斜め先にネルが滑空しながら高度を下げていく。
…速い!
…なんで?
僕は自分に出来る精一杯の飛び方で必死にしがみついていた。
山の森の部分を傾斜60度くらいで、2羽で降り続けると、やがて崖になり、その先に海しか見えなくなる。
崖まで後少しの場所だが、まだ2羽に大して差はない!
…イケる!着いていけてる!
海の上に出た所で、僕は最短距離で島を周る為に、左側に旋回し、翼を羽ばたかせ1周を周り始めた。
…なんでネルはそんな外側に?
ネルは僕とは違い、島の最短ルートの島と海の淵ギリギリで、方向転換をしないで更に海側の沖に羽を広げたまま、飛んでいった。
…なんで?
…遠くに行けば行くほど1周の距離は長くなるはず……。
考えても答えは出ないので、僕は僕を信じて、最短距離を目一杯羽を羽ばたかせて飛んだ。
半周過ぎ、昨日ネルと話した砂浜がある。
もう僕の勝ちだと思ってバサバサ羽を羽ばたかせていると、僕の遥かに外側で羽を羽ばたかせないで、ネルが僕を抜いて行く。
…えっ?
…えっ?
…なんで?
理解が出来ず、まるで魔法でも見ているようだった。
遥か外側でネルがニヤっと笑ったような気がした。
『そんな馬鹿な。』
理解を苦しむ状況だった。
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