3.1話

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今までそうやって削り、生きて来て、空を飛んで来た。 だから疑問を持った事も無かった。 「ナギはその不均等な翼で飛べるのか?」 『飛べるよ。 いい景色な場所があるんだ。 一緒に行かない? ってかネルこそ飛べる? 治ったばかりだけど。』 【バサバサっ】 ネルが羽ばたいて羽の様子を見ている。 「大丈夫そうだ。」 『じゃあ行こう!』 【バサバサッ】 僕は舞い上がる。 そして下を見るとネルがついてきていた。 …初めて同じ渡りカモメと話した。 …楽しいな。 …一緒に飛ぶ渡りカモメなんて。 …まるで夢みたいだ。 僕は自分の不均等な翼を器用に使い、島の中心の山の1番天辺の木の上まで飛んだ。 そして、360度パノラマの、1キロ四方の島が見渡せる僕のお気に入りスポットにネルを連れてきた。 「凄いなナギ。 普通に飛べるんだな。」 『飛べるんだけど、自分で木に擦り付けて、右側の羽を減らさないと飛べないんだ。』 【バサッ】 広げて見せた翼に月夜が当たる。 「おまえは1羽で羽繕いが出来るのか凄いな。」 『僕しかいないから自分でやらなきゃしょうがないよね。 ネルは違うの?』 「オレは自分のは自分でやるし、仲間のやつもオレがよくやってたな。 羽繕いの天才って言われたりしたんだ。」     
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