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「そうだ。
だから1度目の卵を産んだ時点で、残りの命はカウントが始まる!
だがな2度目の卵は佐渡ヶ島に辿り着いたやつしか孵化しないと言われている。
佐渡ヶ島に着いたらいつでも卵は産めるらしいぜ。
佐渡ヶ島につかない場合は1ヵ月後勝手に卵が産まれ、命を落とすらしい。
まぁ、あくまでそういう言い伝えだ。
実際にトキになったやつを見たやつもいないし、わからないことばかりだけどな。」
『そうなんだ。
全然知らなかった。
ネルはもう卵産んで来たの?』
「ああ!産んで来た。
決意をした日に腹痛くなって、産んだ。
もう4日も無駄な時間を過ごしちまった。」
『ねぇ、ネル!
佐渡ヶ島の側で1個目を産んだらダメなの?』
「自分の生まれ育った島で卵を産まないと、佐渡ヶ島に着いても卵を産めないらしい。
そうやって新しい渡りカモメは連鎖して減らない仕組みになっているみたいだぜ。
ナギおまえも、誰かがここで育ち、多分ここから佐渡ヶ島を目指すのに、卵を産んだからおまえが産まれたんだとオレは思う。
だから父ちゃんがいないんだろうな。」
『そっか、僕のお父さんは卵を産んで、佐渡ヶ島を目指したのかな?
じゃあネルもまた佐渡ヶ島に向けて、ネルは飛び立つの?』
僕は隣で佐渡ヶ島の方角を見つめるネルの横顔を見て問いかけた。
「そうだな。
島のみんなが言っていた、積乱雲が晴れるのが、後2日か3日後だろ?
そしたら、この島を発ちオレは大型鳥になる夢を目指し羽ばたく。」
…行っちゃうんだ。
…ネル。
…渡りカモメに生まれて来たんだ。
…どうせ、いつかは僕も向かわなきゃいけない。
…どうせ向かわなきゃいけないなら、、、。
…どうせ向かわなきゃいけないなら!
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