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3.1話
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怪我したカモメは半日後経ったむなたやなかきかなな夜やっと目を開けた。
「おまえが、看病をしてくれたのか?」
月夜に照らされ、ゆっくり必死に体を起こす僕と同じ渡りカモメ。
『、、、そうだよ。』
初めて同じ渡りカモメと話す、相手に緊張を隠せなかった。
この答え方であっているかすら、わからない、全てが手探り状態だった。
「ありがとうおれの名前はネルだ。
佐渡ヶ島を目指す途中、積乱雲に巻き込まれた。」
『君は今年、向かったんだね。』
「ああ、仲間の反対を押し切り、出発したんだ。
島の仲間は1週間後に出ようとみんな言っていた。積乱雲が出るから!って。
でもオレは1人でも行けると思った!
オレの飛行速度なら積乱雲が発達する前に抜けられると思ったんだけどな、、、。」
そうしみじみ話すネルに、僕は取って来た魚を渡した。
『とりあえず食べよう。』
「悪いな。
明日からオレも取りに行く。」
こうして2羽並んで初めて食事をした。
僕達は渡りカモメ。
20年は生きる。
カモメと渡りカモメの違いは、渡りカモメは必ず生きている間に佐渡ヶ島を夏に目指すんだ。
全力を振り絞り、南にあるこの島から約2000km先の佐渡ヶ島を目指す。
生まれて来て、これは渡りカモメの本能で方角とおおよその距離で、そこにいつか向かわなくてはいけない事はわかっている。
どうしてかはわからない。
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