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6話 7/6 旅立ちまで、後1日!
出発まで後1日になった。
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僕は久しぶりに木の上でなく、砂浜と森の境目みたいな岩の窪みで寝た。
そう!僕の右翼の下に卵があるからだ。
起きたら隣にネルはいなかった。
僕は立ち上がらず、周りを見渡したが、ネルはいなかった。
…ネル、、、。
…まさか1羽で先に、、、。
【バサバサ。】
そんな事を考えてる僕の後ろからネルが何かを咥えて飛んで来て咥えてた物を僕の前に放した。
「ナギどうした?そんな顔して?」
『ネル、、、、。
先に行っちゃったかと思った。』
「どんだけ心配性なんだおまえは。」
『それよりこれ何?』
ネルが咥えて運んで来た物を見ながら使い方の意味がわからずネルに聞いてみた。
「何か無いか探していたら反対側にこれが流れついていてさ、いやー重くて、くちばしが、もげるかと思ったぜ。」
『これ?背が低い桶だよね?』
「ここに餌をたくさん入れるんだ。
でな、卵が孵化したら雛をこの中に、孵化しなくても、この桶で孵化して餌に困らないようにしてやろうかなって。」
『ネル、、、。』
「あんまそんなキラキラした目で見んな。
恥ずかしい。
じゃあ餌や、オレ達の魚とか取りに行って来るから、ナギは卵を暖めて待ってな。」
【バサバサ。】
そう言うとネルが羽ばたき行ってしまった。
…もう1羽で先に行っちゃったなんて考えた僕が恥ずかしいよ。
…でもなんでさっきこんなに不安になったんだろ?
…嫌だな僕は心配性で。
羽ばたき飛んで行くネルを見て僕は気がついた。
…そうか。
…僕は友達がいなくなることが不安なんだ。
…こんなに楽しいから。
…楽しい時間を失いたくないから不安なんだ。
…ネル、、、。
…大丈夫だ。
…不安な時程信じればいんじゃないか!
…クジラのお爺さんもそう言っていた。
…ネルもオレを信じろ!そう言ってたもんね。
…一緒に佐渡ヶ島に行くんだもんね。
優しさや友達自体が初めての僕には、僕の為に動いてくれる優しさが嬉しく、いつの間にかそれはまるで麻薬の様に僕の心を少しずつ奪い、支配し僕をがんじがらめにしていく。
でも僕はその事にまだ僕は気がついていなかった。
友達と言う楽しい依存に。
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