休日

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目の前にいたのは噂のアイドル クーナその人だった 「こ、こんにちは」 とりあえず挨拶を返す 「ライブ中にあなたを見かけたから挨拶しに来たよっ!」 意味がわからない アイドルの知り合いなんて俺にはいない ん? 待てよ、そういえば名前はクーナとかいったよな なるほど 「あの時の子か」 「やっと思い出したの?」 会ったことは2回しかないのに覚えてるも何も ないでしょう 「二重人格だったのか」 「違うよ、どっちも1人の私!」 理由は知らんがアイドルの自分とあの時の自分を 使い分けているらしい 「ライブは抜け出して来て大丈夫?」 「今は休憩時間だよっ!」 「そっか、それとあんたがここにいても誰も気づいていないことについては?」 「私が見えなくしてるからねー、あなたには何故か見えてるみたいだけど」 めっちゃ便利だなそれ 今度やり方を教えてもらおう 「それじゃそろそろ戻るね!」 「おう」 「というより、あなた途中でライブ抜けたでしょ!」 「ガロンゴジュースのせいでトイレにだな・・」 「言い訳はいいからあなたも最後までライブに参加してねっ?」 笑顔が怖い怖い 仮にもアイドルだろ、この子 「知り合いがライブを見に来てくれるなんて初めてなんだ」 「友達とか見に来てくれないのかよ」 「そもそも友達なんていないよ」 「大丈夫、俺もそんなにいない」 「あなた友達少なそうだもんねっ!」 「ねっ!じゃねーよ、ひどいこと言いやがる」 この子の場合、友達がいないんじゃなくて 必要ないから作らないというのが正しそうだ でも1人ぐらいダベることができる仲間が いてもいんじゃないかな 「そこまで言うなら俺と友達になれよ・・」 「え?」 「友達が少ないんだよ、寂しくて死にそうだよ」 「思いっきり棒読みだね・・」 「で、友達なれるの俺は?」 「別になってあげてもいいけど・・」 「それはどうも、アイドルと友達になれるなんて幸せですよ」 「なんでさっきから棒読みなのっ!?」 「とりあえず」 「?」 「ヨロシク、どっちのクーナさんも」 「う、うん、よろしく・・!」 今日初めて本物の彼女の笑顔を見た気がする 友達になるのは俺じゃなくても良かったんだろうが これも何かの縁だろう 「ライブに戻らなくて大丈夫かよ」 「そうだった! またねっ!」 急いでショップエリアへ彼女は走り出す 俺も戻るか 友達だし、最後まで見てやらないとな
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