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考察
誕生日というのはこの世に生を受けたことを喜び、今ここに生きていることを祝う。誰もが持っている年に一度の記念日だ。その祝いを今まで「おめでとう」の一言で済ませていたのは、あまりにも無粋だと思った。
もちろん祝いの言葉もプレゼントになる。しかし、言葉というのはその一瞬だけ存在するもので、すぐ空に溶けて消えてしまう。
もしかしたら明日死ぬかもしれない。彼女の記念日を祝える時はもうないかもしれない。人生というのは神様の気まぐれである。
今年は形に残るものをプレゼントにしよう。そう考え付いたのがつい二日前。
僕は今、公園のベンチで項垂れていた。
「はぁ……」
大きなため息をつく。仕事でうまくいかない時にもこんな大きなため息をついたことはなかった。
女性に贈り物をする時は何を贈るべきなのか、だいたい相場が決まっている。
まず花束。チューリップにパンジー、コスモスやアネモネ。種類が豊富なだけあって喜んでもらえることが多い。
次に菓子類。チョコレートやクッキーなど。一見誰でも作れるものが多いが、安物から高級品まで質の幅が広い。これも種類が豊富。
ジュエリー系もいいだろう、特に女性はこういったものを贈られることを望むことが多い。
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