合歓綢繆

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今日も仁は、簪を(なび)かせて出て行った。 最近は、簪を使ってくれとうるさい。 必然的にまとめ髪が多くなるから、マンネリ化するんじゃねえかって話だけど、それでも簪を使いたいらしい。 …俺としてはすげえ嬉しいけど。 ________ ______ ____ 「おはようございます、樹さん。」 「お、今日も元気でなによりだ。」 元気かどうかは置いといて、開店準備をする。 全テーブルを拭いて、灰皿を置いて。 カウンターにメジャーカップやアイストングを置く。 「……あ、樹さん、牛乳切れてるんで買いに行ってきますね。」 「あー悪ィ、助かる。」 樹さんにお金を渡され、スマホと財布を持って店を出た。 「あ、お兄さんこのお店の人?」 店を出た瞬間、知らない男に話しかけられた。 …知らない男なのに、どこかで見た気がする。 「はい、まあ…そうですけど。」 「俺、お兄さんと一緒にお酒飲みたい。」 「……うーん、…まだオープン前なんで、店開いたらにしましょうか。」 別に断る理由無いし。 「…なんなら今入っていきます? 俺買い出し行くから今は居ねえけど、中に入れるくらいなら店長も全然気にしないと思うし。」 「ありがと、そうさせてもらうよ。」 俺は店の中の樹さんに声をかけ、買い出しに出かけた。
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