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「――――え?」
「だからね、君が乗ったのは『【小崖(こが)】行き』で、【東城(とうじょう)】に行きたいならこれとは別の車両だってこと。しかも、真反対だしね」
駅員の女性は「困ったなー」と言って腕を組む。
「どんな用事かは分からないけど、帰るしかないかな~」
「それじゃあ困ります!」
「そう言われてもね~」
彼女はチラッと俺を見ると、「はぁ……」と呆れたようにため息をついた。
「な、なんですか?」
「いや、間違ってたら悪いんだけどさ、」
そう言って彼女は俺を見て、
「もしかして、家出少年?」
「なっ……!?」
なんともピンポイントな質問に思わず言葉を詰まらす。それを見て彼女は「やっぱり……」とまたため息をついた。
「まあ、べつになにも言わないけどさ~」
「ど、どうして分かったんですか!?」
「どうしてって、見れば分かんのよ」
駅員さんってすげぇ。
「で、家に帰るわけにはいかない、と」
「……はい」
「でも行く場所を間違えた、と」
「……仰る通りで」
「この後行く場所あるの?」
「……はは」
「ほんとなにしてんのよ……」
恥ずかしくなって思わず目を逸らす。
「そ、それにしても、人が多いですね」
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