花火大会のサプライズ~伊万里~

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平ちゃんが卒業して、校舎でも生徒会室でも、あちこちで彼の不在を思い知らされる。 特に図書館には彼の影が強く染みついていて、夏休み中の今も受験勉強に支障をきたしている。 髪に触れる手の記憶がいつまでも頭の片隅から離れない。 でも、彼にとっては単なる髪フェチ、ペット相手のようなその場しのぎの戯れ。 多分、今まで私の事など思い出しもしなかったのだ きっと大学でも周囲を圧倒し、才色兼備な学友に囲まれて充実した日々を送っているのだ。 貰った制服のボタンを握りしめて、そう自分に言い聞かせた。
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