運命の出会い

あの子との出会い

「いらっしゃい！
どの子がお好みですかね？」
「う～んやはりペットにするなら～トイプードル、チワワ、マルチーズもいいな～」

一人の時間の寂しさを紛らわす為にペットショップへ来た僕。
「お客さん犬派かい！
だったら選択肢が多いだろうねぇ～。」
「い、いや、犬派って訳でも無いのですが飼いやすいのかな～と…。」
「飼いやすいかどうかは人によるわな。まぁこれだけたくさん犬がいるんだから、自分に合う子も一匹はいるだろ！」
僕は様々な犬を吟味して周る。が、普段犬を意識して見ないせいか皆同じ顔に見える。生き物を飼った事も無く、ペットショップに入る事さえ初めてな僕が一丁前に犬を審査するように眺めているという悍ましい事実。僕はその事実から目を背けるように店主に聞いていた。

「オススメの犬～なんていうのはいますかね？」
「オススメかい？
やっぱ飼いやすいのはマルチーズだろうな。身体も小さいし、犬派にとってはたまらない可愛さだよ！」
「はぁ。」
そもそも犬派ではないしさっきまでの犬と違いがあまりわからん。
…白いな。 部屋の隅にこの子がいたらモップと間違えてしまいそうだ。これがオススメか…。このモップが。犬派の人はこのモップを見て可愛いと声を上げるのか？
モップを可愛い…水を吸着させるとキュートになるのか？ なんか、わたあめ的な形状になるのだろうか。そもそもマルチーズってなんだろうか、名前の由来は。チーズを好んで食べるのだろうか？ いや、だとしたら頭の〝マル〟はなんだ？ マイルの略だろうか。この犬にチーズを食させマイルを貯めるという昔の仕来りの様な…。いや、僕は何を言っている？ とても陳腐な考えを施してしまった。 見た目が丸くチーズの様な滑らかを持っているからマルチーズ…。
マルチーズ（丸＋チーズ）！？

…いやいや、ありえない。さすがにそれは。 見た目で名付けられるとしたらこの子はモップ犬だ、モップーだ。あぁもう仕方ない、別の生き物にまで視野を広げるとしよう。
チワワ、ダルメシアン、ドーベル…犬ばかりだ。
ミニチュアダックス、柴犬、パグ…ああそうだった、店主に犬とカテゴライズされた空間に誘れたんだ（自分で言ったのだが）
だとすればどうしよう。犬以外の生き物の場所を聞かないでここまで来てしまった。
場所を聞こうにも店主の姿は見当たらない。こうなれば、手探りでいくしかない…！