メリークリスマス  ~トナカイより愛を込めて~

75/81
6227人が本棚に入れています
本棚に追加
/586ページ
 いや、あんた、どうしたいんだ、と思っていると、 「嫁に出るまでは家に居るのが、家族にとってもいいような気がするしな」 と言い出した。 「そ、そうですか」  そこで、また沈黙する。  そして、また口を開いた。 「いつか、俺に娘が出来たら、娘にそうして欲しいから」  今度は、いきなり、娘の話になったぞ、と思うと、また黙る。 「あのー、課長」 と溜息をつくと、 「なんだ。  お前、今、俺のことをめんどくさい奴だと思っただろう」 と言ってくる。  その通りだ。  確かに、この人と自分とでは、この先もなかなか話が進みそうにはないな、とは思っていた。
/586ページ

最初のコメントを投稿しよう!