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すると、甲斐くんは「ハッ」とまた能天気に笑った。 「ごめん、冗談だって。友達として、たまには話したいこととか相談したいこととかあるでしょ?」 「…………」 「頼ってよ。辛いこととかあったら聞くし。ほら、俺は道孝のこともよく知ってるから」 「なんか……胡散臭いけど」 「いいからいいから」   結局、甲斐くんに言われるがまま連絡先を交換する。私のケータイの中の数少ない登録番号に、甲斐くんのそれが加わった。女の子も少ないけれど、男の子の連絡先が入るのは、高校に入って道孝以来だ。   噴水が高くなったり低くなったり。まるで私の複雑な気持ちを表しているようだ。その中に、わずかな嬉しさがあるのも確かだけれど。 登録を終えた甲斐くんは、 「あれ? ちょうどメールきた。 倫ちゃんから?」 と言った。 「ううん」と首を横に振ると、 「あ、母さんからだった。卵と牛乳と豆腐? はぁ? 俺、二百円しか財布に入ってないんだけど」 と、ケータイ画面に向かってぼやきはじめる。
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