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「なんで来たの?」
「クラスメイトが心配したらいけない?」
そう言ってカップデザートがいくつも入ったコンビニ袋を手渡してくる。
「食べるの禁止されてたら、双子ちゃんにでも」
「あ……りがとう」
壁に立てかけられていた折り畳み椅子を開き、話しやすい距離に座る甲斐くん。半分だけ起き上がって袋を受け取った私が棚に置くと、「寝てていいよ」と促され、私はまた横になった。
「…………」
枕の上で甲斐くんの方へ顔だけ向けると、彼は何も言わずにじっとこちらを見つめてきた。
沈黙の居心地の悪さに、
「この場面見たら……お母さん、甲斐くんが彼氏だと勘違いしちゃうかも」
と冗談を言う。
「お母さんは道孝のこと知らないの?」
「うん」
「そっか」
微笑みはすれども、話を広げることをしない甲斐くん。疲れたような暗めの表情で、まるで彼のほうが病人みたいだ。
「大丈夫?」
「なんで俺?」
「だって甲斐くん、しんどそう」
膝で腕を支えて前のめりに座っている甲斐くんは、顔をほんの少し伏せるように傾ける。
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