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「……ていうかさ、小野田さん彼氏いるのに甲斐くんと仲良すぎじゃない?」 「思った! なんか距離感が前より近くなってない? どうなの? あれ」 「それもだけど、体育祭の小野田さんの穴埋め、どうしよう」 「私の知り合いなんかはさ、退院前からピンピンしてたけどね。盲腸って、そんなに大変じゃないんでしょ?」 「なんかさぁ……」   教室に戻ると、私が後ろの方にいると気付いていない徳原さんたちが、私の席の所で盛り上がっていた。だから、私はいったん廊下へ出て、1分後にわざと前のドアから教室に入る。 「おかえり」と言われたので、「ただいま」と笑って席に着くと、 「ねぇねぇ、小野田さん、言い忘れてたけど」 と谷本さんが肩を叩いてきた。 「体育祭の打ち上げ、当日の夜、行ける?」 「…………」   谷本さんはパーフェクトな笑顔だった。   頭の奥、お薬曲が流れる。もはや、何を癒してくれているのか分からないその曲を、短く何度も繰り返す。 「あー……すっごく行きたいんだけど。その日はちょっと親に帰ってこいって言われてて」 「そっかぁ、残念」 「ごめんね」   そう言いながら両手を合わせて謝るポーズを作っていると、里平さんと目が合った。彼女は呆れたような目で私を見て、ふいっと顔を前に戻した。  
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