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「……小野田さんて、やっぱり滑稽だわ」
「え?」
「無理して笑ってる感じが、見ていていや」
急に言われて面食らう。あいかわらずの里平節だ。にしても、〝いや〟って言われるのはいい気はしない。
「あのさ、私のこと気に入らないのは分かってるけど」
「そんなことないわよ」
「え? だって苦手って……」
「バカなとこは苦手だけど」
「何それ」
そう言って軽く肩を叩くと、里平さんは自然に笑った。私はちょっと嬉しくなって、また「今笑った!」と言ってしまう。そしてまた里平さんも同じように、「笑ってないわ」とすぐに返した。
その時、ズキンと重めの痛みがわき腹を走る。
「痛……」
「何? どうかした?」
「ううん。ちょっと数日前からお腹が痛くて」
連日、鈍い痛さがお腹にあって、時折こうやってけっこう痛むことがある。けれどもしばらくするとおさまるから大丈夫だろうと、お母さんには言っていない。
「胃痛? ストレスじゃないの? 大丈夫?」
「ストレス……って、〝能天気〟なのに? 私」
「そうだったわね。便秘だわ、きっと」
私はまた里平さんの肩を叩いた。
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