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「はっ?」   母親じゃない声に慌てて起き上がると、立ちくらみがして転びかけた。ドアを開けた真智が、俺を見下ろす。 「……何してるの?」 「そっちこそ、何勝手に入ってきてるの?」 「お母さんが実家から届いた野菜を持っていけって言うから届けにきたら、おばさんにお返しのものを準備する間、久しぶりだし敦義の部屋にでも上がって待ってて、って言われて」 「勝手に……」   うちの母親は、いつまでも俺らがガキんちょだとでも思っているのだろうか。 「小学校の時に、道孝と一緒に来て以来だわ。まったく変わってない」 「あぁ、あの時は一緒にウノしたな」 「敦義が何度ももう一回って言うから、帰ろうにも帰れなかったわ」 「道孝が強すぎたから悔しかったんだよ。あれ? 中学の時も来ただろ?」 「あの時は、ふたりともゲームばっかりするから、面白くなくてすぐに帰ったわ」  真智と道孝の思い出話をするのは変な気分だった。葬式ではそんな話をする気になれなかったし、そもそも高校に上がって真智がバスケのマネージャーをしなくなってからは、会話すること自体がめっきり減っていた。小さい頃から男友達のように遊んでいたことが嘘のように。 「大丈夫なの?」 「何が?」 「落ち込んでない?」   表情を変えるでもなくそう言われるが、これでも真智は心配してくれているのだろう。
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