《甲斐 敦義》1

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【そっちの家の電話番号とか、聞いてもいい? ケータイ買った?】 【買ってない。俺からかけるから。5分後、待ってて】 【勇と藍が、ハトのお兄ちゃんは? ってうるさかったんだけど、やっとおさまってきたよ。そっちにもハトいる? いるよね、当たり前か】 【毎日お迎えご苦労様。ハトいるよ。むしろこっちのほうが多い。勇と藍とか、小さいからあっと言う間に俺のこと忘れると思ってたけど、まだ覚えてるんだな】 【小さいからこそ覚えてるでしょ。ただ、本気で道孝のことを魔法使いだと思って尊敬してる】 【道孝の声が聞きたい、とか言ってみた】 【ごめん、親が長電話してて、今電話使えない】 【こっそりケータイを持つとか無理だよね? ネット電話とか挑戦してみる気はない?】 【ケータイは親の目を盗むなんて無理だろうな。ネットで電話するのも、悪いけど、ごめん】 【分かった】 【倫はさ、保母さんになりたいんだよね?】 【うん、保母さん志望だよ。何いきなり?】 【いや、倫はいい保母さんになれそうだなって、ふと思ったから】 【なれるかな? 気持ちはあっても適性があるのかどうか】 【なれるよ。勇と藍への接し方と、あの子たちの喜び方を見てたら分かる。素人目にも適正クリアしてる。頑張れ】 【うん、頑張る。けど、どうしたの?】 【電話できないから、株上げてるところ】 【ずるいよ。でも、ありがと】 【今日は、お姉ちゃんと子どもたちと一緒に、遊園地に行ってきたんだ。桜がぎりぎり残ってたから、ちょっとしたお花見もできた。道孝のほうは、もう桜散っちゃったかな?】 【道孝、元気? 最近忙しい?】 【ネットの調子が悪いのかな? パソコン使えないところ?】
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