アイロン

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とんとんとん、という規則的な音に耳をくすぐられ、僕は夢の浅瀬から意識を拾い上げた。 真っ白なシーツが心地よいダブルベッドの中で寝返りをうてば、女性特有の甘い匂いを微かにはらんだ空気が僕の顔をふわりと包む。 大きく息を吸ってその香りを存分に体内にとりこんだ後、僕はベッドを抜け出し、寝室を出て1階へと降りる。 僕とは違う足の形に馴染んだ男物のスリッパ。 そのせいで、僕は僕の意思に反して大きな足音をたてながら、目覚めの原因となった音を辿って歩いていく。
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