お台場

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千尋とは付き合ってもうすぐ3年になるが、最近、あまり上手く行っていなかった。 別に喧嘩しているわけではなく、なんとなく仲がしっくりしていなかった。 この春、圭介が忙しく、圭介が落ち着いてきたころに千尋が忙しくなっていた。今日は、1ヶ月ぶりに時間を合わせて、この週末を一緒に過ごすことになっていた。思い起こせば、付き合ってから、1ヶ月も会わなかったのは今回が初めてだった。 以前は、週末の金曜夜から~日曜日までほとんど一緒にいたし、平日のちょっとしたショピングにも付き合ったので、週に3~4日会う事もあったが、それが用事があるとかで、週末の土日どちらかになり、さらに仕事が忙しくなってからは2~3週間に1回程度になって、今回は1ヶ月ぶりになった。 上手く行かなくなって来たのは、あまり会えなくなったからでは無いことを圭介は感じ取っていた。 圭介は、よく千尋のショッピングに付いて行った。 「女性の買い物に付き合うなんてイヤじゃないの?」よくそう訊かれた。 圭介はイヤではなく、千尋に色々試着させ、素敵になっていくのを楽しんだ。千尋は圭介が選んで買った服やアクセサリー、フレグランスなどを喜んで身にまとっていた。圭介が選んだものは自分では選べないものだと言った。違う自分を見つけるようだと、喜んでいた。圭介も自分が買ったものを千尋が身につけてくれるのは嬉しかった。 ところが、千尋は最近、あまり一緒にショッピングへ行くことを望まなかった。 「一緒に行くと、いつも買ってくれるじゃない。申し訳なくて」 そう言って、ひとりで買い物へ行き、デートでも圭介の知らない服を着てくることが多くなっていた。 今日はどのような服を着てくるだろうか。 前回、会ったときは髪をショートボブにしていて、(2~3歳若く見えた)似合ってはいたが驚いた。それまでは、圭介が好きだと言っていたミディアムの長さだった。 嫌われてきているのか? 考えたくはなかったが、他に好きな人ができたのかもしれない、と思っていた。近頃の服や髪形は新しく好きになった人の好みかもしれない、と思ったら、最近の傾向も筋が通る。 しかし、会ったときに嫌な素振りはないし、毎回、抱かれるのも嫌がらない。 好きな人ができたのではなく、単に、そういうタイミングなのかも知れない、とも思った。
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