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ぶつり、と皮膚が破れる音がした。
「いっ……!?」
首から鋭い何かが抜かれ、すぐに温かくて湿ったもので塞がれる。
じゅる、と液体をすするような音がして、身体からゆっくり力が抜けていく……あれ、変だな、まさか身体までバターになったのか?首に男の柔らかい髪が、体温が、息が―――唇があたる箇所が、すごく熱い。外はこんなに寒いのに、おかしいな。こんな寒い中で、俺はいま、何をされてるんだ?
なんで―――――なんで、血を吸われてるんだ?
「えええええええええええ!!!???」
「!?」
夜の公園を、俺の渾身の叫びが突き抜けた。俺の首元から離れた男は、一瞬驚いた顔をしていたが、すぐに不機嫌そうに血の付いた口元を歪ませる。
「うるっせーな、喉噛みちぎるぞ。」
「いやいやいや、何おま……はっ?なんでお前俺の血吸ってんの!?ラミアかよ!?」
「ラミアだけど。」
「だからラッ!……え、ラミア、なの?」
男は返事しない代わりに口元を指で拭い、さらに指についた血を舐めとった。恐る恐る俺も自分の首元に手を持っていくと、ぬるっとしたものが指につく。ま、マジで血が出てるんだけど。これどうしよう、急いで病院に行かないと、大量出血で死ぬんじゃないか?
「ちょ、ここ、これ、どど、」
「何の生き物だお前は。そんなのすぐ止まる。」
……あ、ほんとだ。溢れた血は急激に乾いて皮膚にこびり付いているが、新しい出血はないようだ。
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