人を呪わば、穴二つ

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男は息を吐きながら立ち上がるとコートの雪を払い落とし、再び俺を見下ろした。 「もういいわ。次からもっと考えて行動しろ。じゃーな、馬鹿。」 「お、おい!俺は!?」 「知るか。這って帰れば?」 ……え、あいつ本当に帰ったんだけど。 1回も振り返ることなく颯爽と立ち去っていきやがったんだけど。 人の血を吸うだけ吸って、帰ったんですけど!? いますぐ追いかけてブン殴ってやりたいのに、まだ足に力が入らない。さっきまで熱かったのがウソのように、身体は元通り風にふかれて冷えていく。 「し…信じらんねえ……。」 ……これぞまさに、人生2度目の最悪な日だ。神様、あんまりです。 もしかして、今朝カップルにかけた呪いのせいだろうか。 『人を呪わば穴二つ』なんて言うが、まさにたったいま俺の首には穴が二つ、あけられたというワケだ。ほんとマジで笑えない。 「はっくしゅん!……くそラミアーッ!次会ったら絶対殴ってやるからなああ!!」 ―――やっぱりラミアと関わると、ロクなことがない!!
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