3459人が本棚に入れています
本棚に追加
/770ページ
もういくつ寝ると、高校生
―――ここは、どこだ?何もない暗闇の中、俺はただ座っている。
360度ぐるりと見渡してみてもやっぱり真っ暗だが、ふと地面でなにか動いてるのが目に入った。スポットライトを当てられたように、そこだけ色が浮き彫りになっている。小さい足を動かして、ゆっくり歩いている虫は―――ダンゴムシだ。
『これ、なんだ?』
急に横から子どもの声がした。
驚いて振り向くと、俺の隣にはぼんやりと人間の形をした光があった。声と同様、シルエットも子どもにみえるそれは、俺と一緒にしゃがんでダンゴムシを見ているようだ。
『ダンゴムシだよ、知らないの?』
俺の口が勝手に動き始める。いまよりもずっと高い声で、舌っ足らずだ。
『知らない。初めて見た。』
『じゃあ……ほら、こうしてつつくと丸まるんだ。おもしろいだろ!』
『うわっ、すげえ!』
俺の指が勝手にダンゴムシをつつけば、丸くなったその姿に隣の子ども(仮)がさらに前のめりになった。
顔も何もついてないただの光のシルエットだが、子どものキラキラした顔が目に浮かぶようだ。
最初のコメントを投稿しよう!