もういくつ寝ると、高校生

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『あ…もう帰らなきゃ。お母さんが、暗くなるとお化けが出るって言ってた。』 『ヴィズのこと?おまえ、怖いの?』 『こ、怖いよ!だって、会ったら食べられちゃうんだって。』 『ふーん。じゃあそのときは、おれが絶対やっつけてやるよ。』 『ほんとうに?でも、オリジンは戦えないんだよ?』 『ほんとだって。でも、その代わり―――』 子どもの声が低くなった途端、周囲の景色が一変した。 一気に気温が下がり、足元は白く冷たい雪で覆われている。顔を上げれば、薄闇の中で誰にも使われていない遊具が寂しそうに立ち尽くしていた。 ……そうか、最初からここはあの公園だったのか。 ここはまずい、いますぐ離れないと。今までぼんやりとしか動かなかった頭が、高速で回りだした。立ち上がろうとしたけど、足が動かない―――よく見ると、雪から生えたいくつもの手が、俺の足を掴んでいるではないか。叫びたくても、声が出ない。 『その代わり、血をちょうだい。』 ゾッとするような声に顔を上げた瞬間、俺の首をめがけて大きな影が飛びついた。
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