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だめだ、余計なことまで思い出してしまった。
パンを瞬時に胃に収めた陸が、「まあここ座れよ。」と言って席を立つ。なんか親切に感じるけど、ここは元から俺の席だ。
「アキト君が傷心なのは分かるけど、いい加減慣れろって。俺たちだって今では『義務献血』で済んでるけど、高校に上がれば『ラミア』と共学になるんだぞ?もし彼女がラミアだったら、お前も吸われるかもよ。」
「は!?」
「だって、吸血って好きな相手とすると、お互いキスよりイイらしいぜ。」
「お……俺は非吸血の、『オリジン』の彼女を作る。よって、吸血はされない!」
「うん、そうだとありがたいけど。」
「え?今なんて?」
よく聞こえなかったが、「なんでもー」とへらへら笑う顔がムカついたので、机の上のパンくずをかき集めると、顔面に向かって投げつける。
ああもう、この野球バカの爽やか能天気さんめ。お前だって他人事じゃないんだぞ。
俺は知っているのだ。俺たち『オリジン』と共存関係にある吸血種―――『ラミア』の、恐ろしさを。
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