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「俺は7歳の時……公園で友達と遊んでたら、知らないオッサンに腕を噛まれたんだよっ。信じられるか?ダンゴムシを集めることに命を懸けてる、いたいけな7歳だぞ?」
「うんうん、何回も聞いた。信じらんねーよなぁ。マジ殺したい。」
「だろ!?俺はあの日に誓ったんだ……もう、二度とラミアに吸血させないって!」
あれは、間違いなく人生最悪の日だった。
俺に噛みついたオッサンは小さい子が好きないわゆる、『そういう性癖』の人だったらしいが、だからと言っていきなり小さい子に噛みつくなんて、あまりにも非常識だ。ラミアの義務教育機関は一体何を教えていたのだろうか。
幸いにも軽く噛んだだけで吸血されてはいなかったのだが、俺はそれ以来、基本的にラミアの教育機関を信用していない。共存関係であることは大いに結構だし、差別意識は無いが、深くかかわるつもりもない。
自分の身は自分で守るしかないのだ。そう、公園の時みたいに―――
(……あれ?そういえば公園で噛まれたとき、どうやって逃げたんだっけ?一緒に遊んでた友達は、どうなった?)
「おーい、秋人?大丈夫かー?」
「え?あ、うん、大丈夫。たぶん俺のことだから、素早い身のこなしで逃げたんだわ。」
「は?……まあいいや、そろそろ時間ヤバイし、宿題見せて。」
「ハイハイ、スポーツ推薦で志望校行ける奴はお気楽だよ。」
俺なんて自力で行くしかないから猛勉強してるっていうのに。ノートを受け取った能天気さんこと陸は、「あんがと!愛してるぜ!」なんてふざけたことを言いながら必死に書き写し始めた。
……ほんと、どこまでも憎めない奴だ。こいつがオリジンで、幼馴染で本当によかった。
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