303号室の同居人

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「あの後……どうなったんだ?」 「………マジで覚えてないんだな。お前、俺が吸血する前にぶっ倒れたんだよ。その足首のせいで熱が出たんだろうな。 …ったく、そんな腫れた足で走り回って大騒ぎしてたとか、マジで脳みそバターかよ。しかも気絶してるくせに、俺にしがみついたまま離れねえし。」 「はぁ!?う、うそだろ、そんな訳……。」 「あるね。どんなに引き剥がしても、子泣き(じじい)もびっくりのしがみつき方だったわ。俺もそんな妖怪の血吸いたくないっつーの。」 「なっ……!」 は……腹立つ―!!涼しい顔でよくそんなに次々と憎まれ口が叩けるもんだ。 何か言い返してやりたいのに言葉が出ない俺の一方で、結城 千隼はベッドを降りると、さっきから机の上で震えているスマホを耳に当てた。 「なに?―――ああ、忘れてた。ハイハイ。じゃ。」 「?」 「うるさい女………おいくそオリジン、お前のせいで完全に遅刻じゃん。」 「俺!?いや、女の人と約束あったなら俺なんか置いてそっちに―――」 ふと、窓際でハンガーにかけられている制服の上着が目に入った。 …そういえば、俺は今シャツにズボンの格好をしているから、あれはきっと俺のだ。気絶する前にわざわざ「(しわ)になったらヤダ」とか言って脱ぐわけないし……ということは、 (―――もしかして、あの上着とか、この冷えピタとか、足の氷とか……こいつがやってくれたのか?)
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