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「そういえば、秋人の同室の先輩どうだった?」
「えっ!?」
「えって……結城先輩だよ、どんな人だった?」
「ん゛ーーー……ちょっと癖のある人だった……けど、あまり部屋に帰ってこないみたいだから、大丈夫そうかな。まだ初対面だから何とも言えないよ。」
実際はちょっとどころじゃなかったし、会ったこともあるし、ハッキリと嫌なやつだと言えるけどな!
……でも、くそラミ――じゃなかった、結城先輩は昨日あれから帰ってこなかったし、エリさんの言っていたことは正しいのだろう。だとすれば、同室とはいえあまり関わらなくて済むはずだ。
どうにか2年間耐え切ろう―――そう自分を励ましていると、誰かに背中をポンと叩かれた。
「おはよ日野!」
「んえ?あ、おはよう?」
「日野君、足大丈夫ー?」
「う…うん。」
顔も知らない生徒が、軽く手を振りながら去っていく。―――え、いまの誰?困惑顔丸出しで陸を見上げると、陸は口元を緩ませていた。
「なんで笑ってんのさ。」
「だってさぁ……んー、秋人ドンマイ。」
「は!?どういうこと?……おい。」
「いてっ、急に松葉杖使うの上手くなってんなよ。学校行けば分かるから!」
いくら聞いても陸は笑うばっかりで教えてくれない。俺は松葉杖で陸をつつきながら、そういえば何か心当たりがあるような、無いような―――。
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