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303号室の同居人
悪夢のような入学式を終えた放課後、俺は陸とともに寮へ向かっていた。
保健室で手当てしてもらったおかげで、自力で歩けるくらい足首の痛みはマシになったが、まだ心のダメージは残っている。………おもに、ずっと爆笑してる幼馴染のせいだ。
「……陸、いい加減笑うのやめろよな!」
「あははは、ひーっ、ごめん、でもあれは笑うでしょ!お姫様抱っこは笑うでしょ!」
こいつまだ笑うか。体育館中が固まってる中でも1人だけ盛大に爆笑してやがったくせに、本人を見た途端またぶり返したらしい。
この反応を見ると、入学式の後は各自解散のスケジュールで本当によかったと思う。明日になったらみんな記憶喪失になってればいいのに。
「はぁ、笑った……でも、すごいじゃん秋人。ちゃんとラミアの子とも仲よくできてさ。」
「俺さ、知らない間にラミアって種族に対して恐怖感というか、拒否感を持ってたんだな。でもスズ……羽賀さんは、俺が思ってたよりもずっと普通の子だったよ。俺はもっと知るべきことがたくさんあるって、分かった。」
「確かに、俺もラミアとオリジンって大差ないなってこと、会ってみて初めて実感したかも。まだ初日だけどな。……でもさ、秋人は結局そう言うと思ってた。」
「なんで?」
「お前、昔から結局どんな人でも受け入れちゃうっていうか……そんなとこあるし。」
ふーん?よく分からんが、そんなことあったっけ。友達なら俺よりも陸の方が多いと思うけど。
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