いざ、波乱の学園生活

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いざ、波乱の学園生活

正式に私立峰ヶ原学園の生徒となって初めての登校日。同じ校舎を目指して歩く、大勢の生徒たちの集団に混ざりながら、俺、日野 秋人は―――早くもこの学園の敷地の広さを恨み始めていた。 「つ、着かないんだけど……!」 「まあそう焦んなって。松葉杖に慣れてないんだ、ゆっくりでいいよ。」 「こんなに歩きにくいなんて……今度はカタツムリになった気分だ。」 「知ってるか秋人、カタツムリは捻挫してるのに走り回ったりしないんだぜ。昨日塩でもかけとくんだったなー。」 隣をゆっくり歩く陸は冗談交じりで、しかしきっちりと釘を刺してきた。 ……それもそうだ。昨日の騒動を終えて今朝起きてみたら、熱は下がっていたものの、俺の足はまた歩けない状態に戻ってしまっていたのだ。 それでも、気合で行けるかな?と思い、痛みを我慢してエレベーターに乗ったら、たまたま先に乗っていた管理人の山岸さんに速攻でバレた。そして、わざわざ職員寮から往診に来てくれた保健室の先生には頭が上がらない。 「いや本当にご迷惑をかけてしまって……陸も鞄まで持ってもらってごめん。」 「俺?…俺はいいよ。それより、落とした生徒手帳は見つかったんだろ?」 「あ、うん。見つかってほんとによかった。」 昨日の騒動のことは陸には言ってない。熱が出たことはもちろん、同室者の結城 千隼が以前俺を助け、吸血したラミアだったってこともだ。 (だって、前に俺の部屋で話した時のことを思い出してみろ……言ったら陸は絶対心配する。) よって、俺は昨日『無くした生徒手帳を探して寮を走り回った』ということにしたのだ。陸は今回は疑っていないようで、それ以上追求することはなかったのでホッとした。
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