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それは、仕事の飲み会に参加した時のことでした。いつは、それほど遅くまでは参加しないのですが…その日に限って帰りが終電になってしまったのです。 僕の最寄り駅は、都内から離れているせいもあって終電にもなれば人がほとんどいません。 終電に乗り、最寄り駅に着く頃には電車の中には誰も居ませんでした。これほど遅くなることもなかったので、静まり返った電車に少し怖くなっていました。 電車が、降りる駅についたので僕は慌てるようにして電車を降りました。 電車以上にホームは静まり返っていました。 僕は、さっさと改札を出る為に階段を目指していたのですが…終電がいってしまったホームのベンチに女性が一人座っているのです。 いつもなら、声を掛けたりなんかしません。それなのに、僕は声を掛けてしまっていたのです。 「もう、電車来ませんよ。」 「ありがとうございます、大丈夫です。来ますから。」 「いや、僕が乗っていたのが最終だって…。」 「…本当に大丈夫ですから。」 そういうと、その女性はベンチから立ち上がり線路に向かって歩きはじめました。 僕は、その女性を横目に見ながらホームをまた歩き始めました。 その時です、女性が線路に落ちたのです。そして、それに合わせるように音もなく来るはずないの電車が通り過ぎたのです。 「!!!!」 僕は、声を上げることも出来ずに改札に走り駅員を探しました。 「あ、あの、い、い、今、女性が…!!!!」 言葉がうまく出なかったのですが、駅員には伝わったようでした。 「ああ、今日もですが…。」 しかし、駅員さんは慌てることなく答えるのです。 「大丈夫ですよ、それ生きてる人じゃないですから。気にしないのが一番だと思いますよ。」 駅員さんが言うには、たまにあるそうなんです。 この駅で自殺した女性が現れては、また身投げをする事が……。 あの時、女性に近づいて声を掛け続けていたら僕も …もしかしたら……。 それ以来、僕は終電には乗らないようにしています。
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