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「手を出すべきか・・・出さないべきか・・・」
十時さんはそう言い終わられると小さな溜め息を吐き出されてゆっくりとその『言葉』を呟かれた人を指差した。
「悩む時は・・・本人に聞くのが一番早いから」
十時さんは本当に小さなお声でそうおっしゃられるとふと、微笑まれて次の瞬間には僕へと目を向けられて『行きましょうか?』とおっしゃられたから僕はきょとんとさせられてしまった。
そんな僕を十時さんはクスリと笑われた。
「あの子が本当に『逃げたい』と想っているのなら近いうちに僕の家に来るよ。そうなるように術を掛けたから」
十時さんのそのお言葉に僕は『え?』と声を漏らすことしかできなかった。
術を掛けた?
けれど、何も・・・。
「雪。目に見えているモノだけが全てとは限らないよ」
十時さんのそのお言葉に僕はハッとさせられた。
そうだ・・・。
そうだった・・・。
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