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「あの・・・えっと・・・十時(ととき)・・・さん? ちょっと・・・苦しいです・・・」 僕は僕を抱きしめてくださっている十時(ととき)さんの腕に軽く触れて戸惑いと嬉しさにへにゃりと笑っていた。 「・・・ごめんね。(せつ)十時(ととき)さんは本当に小さな小さなお声でそうおっしゃられると僕をそろそろと離されて僕と視線を合わされないようにしてまた歩きだされた。 十時(ととき)さんのその行動に僕の胸の奥はズクリと痛んだ・・・。 今までの僕ならきっと、十時(ととき)さんのその行動を『仕方がない』と思って何も言わなかったはずだ。 僕は『いい子』でいなければいけなかった。 それが僕と言う存在が許される条件だったから・・・。 叩かれても殴られても蹴られても熱湯を掛けられてもタバコを押し当てられても歯を食いしばって笑っていなければいけなかった。 どんなに痛くても怖くても辛くても泣いちゃいけない・・・。 『嫌』なんて言うことは絶対に許されなかった。
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