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「十時さん!」
僕はそこがお店であることも忘れて大きな声で十時さんのお名前をお呼びして驚いた表情で振り返られた十時さんに抱きついた。
「・・・雪? どうしたの?」
僕にいきなり抱きつかれた十時さんは困られているご様子だったけれど僕は十時さんから離れなかった。
そんな僕に・・・と言うよりは僕と十時さんに向けられる回りからの視線は複雑だった。
「海! 僕、海に行ってみたいです! 十時さんと一緒に!」
僕のいきなりの言葉に十時さんは『海?』と不思議そうに言葉を漏らされた。
だから僕は『はい!』とお返事をお返しして十時さんに抱きついたまま十時さんを仰ぎ、見つめ見た。
「僕、海に行ったことがないんです。だから行ってみたいです! ・・・駄目・・・ですか?」
僕はそう言って困った表情をされている十時さんをじっと見つめ見て十時さんのお答えを静かに待った。
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