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お使いに。
今日も暑い・・・。
けれど、もう八月も終わる。
僕は十時さんのお宅の玄関先に手桶から掬った水を柄杓で撒きながらそんなことを心の内で呟いていた。
漢数字は一、二、三、四、五、六、七、八、九、十・・・。
旧字体の漢数字は壱、弐、参、肆、伍、陸、漆、捌、玖、拾・・・。
四季は春、夏、秋、冬・・・。
四季の月は全部で十二月。
はじまりは一月からで二月、三月、四月、五月、六月、七月、八月、九月、十月、十一月、十二月と続き、その十二の月の別名は一月から睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、葉月、長月、神無月、霜月、師走・・・。
僕はこのところ十時さんに読み書きを教わりだしていた。
僕はここに来るまで読み書きが全くと言うわけではないけれど、できなかった。
僕は今、十歳だけれど、学校に通っていなかった。
いや、正確には通わせてもらえていなかった・・・。
今の時代、子供が学校に行くのは『ギム』なのだと十時さんから教わった。
『ギム』って・・・なんだろ?
ふと、疑問が浮かんだ。
その場でそれはお訊ねするべきことだった。
『わからないことは遠慮なく聞いてください』
十時さんはそうおっしゃってくださっていたのに僕は・・・。
「雪」
不意に十時さんの柔らかいお声が聞こえ、僕はハッとさせられていた。
またボーッとしていた・・・。
僕はいそいそと十時さんのお声が聞こえてきた後ろの方を振り返り、笑んで 『はい!』とお返事をお返ししていた。
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