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「辛いことも多いだろうが頑張れ。お前は恵まれている」
恵まれている?
僕が?
嗚呼・・・そうか。
そうだ。
「物事は・・・」
僕は萩月さんから教えてもらった言葉を思い出していた。
雨月さんはそんな僕の言葉を急かさずに待ってくれていた。
「物事は自分の都合のいいように受け取るもの。そうすると気持ちが楽になるから・・・」
僕は『招く』。
いいモノも悪いモノも幸せも不幸も人も人じゃないモノも・・・。
いいモノや幸せや人は望むモノ。
けれど、悪いモノや不幸や人じゃないモノは?
普通は・・・望まない。
けれど、悪いモノや不幸があるからいいモノも幸せもわかるんじゃないのかな?
だとすれば、悪いモノも不幸もそう悪いモノじゃないのかもしれない。
何よりも・・・。
僕は歩きながらじっと雨月さんの横顔を見つめ見た。
雨月さんも萩月さんも大志さんも十時さんも人じゃない。
僕は雨月さんや萩月さんや大志さんや十時さんに出逢えてよかった。
特に・・・十時さんと出逢えて僕は幸せになれた。
僕は十時さんのことが好きだ。
十時さんは優しくて穏やかで物知りで温かくて2リットル入りの業務用アイスクリーム(バニラ味)が大好きでいつも着物を着ていて時々、不器用な人だ。
そんな十時さんの側に居て僕は役に立ちたいと思っている。
鳥籠から僕を逃がしてくれた十時さんの役に僕は立ちたいんだ。
役になんてほとんど立たないだろうけれど・・・それでも・・・。
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