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謝る
「こ、こんにちは~・・・」
僕は開け放たれている入り口に少しだけ首を突っ込んでその薄暗い店の中を遠慮がちに見回した。
いろんなモノがある・・・。
人形に茶碗に絵に壺に本・・・。
そのどれもが古いことは確かだった。
「・・・凄い」
僕はそのいろんなモノに驚かされていた。
そのお店には僕が初めて見るものが多くあった。
もっと近くで見たいな・・・。
けれど、勝手に入っちゃいけないよね・・・。
僕はそんなことを心の内で呟きつつもそろそろとそのお店の中に入って行ってしまっていた。
「おやぁ?」
不意に聞こえたその声に僕は小さく飛び上がり、その声が聞こえてきた方へと振り返ってこれでもかと深く頭を下げていた。
怒られる!!
「か、勝手に入ってご、ごめんなさいッ!!」
僕は舌を噛みながらそう言って小さく震えていた。
怖い・・・。
「あ~・・・十時様んところの子だね? 先ほど十時様から連絡があって待っていたんだよ。・・・うん。いらっしゃい」
そう言ってくれた声は少しガラガラでその口調から僕はおっとりとした『おじいちゃん』という印象を受けた。
僕はおどおどしながら頭を上げてそう声を掛けてきてくれたその人へと目を向けた。
「・・・こ、こんにちは」
僕はぎこちなく挨拶をして今度は軽く、頭を下げてみた。
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