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「あのお方は気難しい。特に子供は苦手だと聞くのに僕をここまで送り届けられた。特別じゃなきゃなんになる?」
特別・・・。
僕はシャツの下にある『護り石』を握りしめ、大きく息を吸い込んだ。
それと同時に大事なことを思い出して僕は少し慌てた。
「あ、あの! これを十時さんからお預かりして来ました!」
僕はシャツの胸ポケットに仕舞っていた布に包まれた何かをおじいちゃんへと手渡した。
おじいちゃんは『ふむ』と声を漏らしてそれを僕から受け取ると布をそっと開かれた。
「・・・あい。確かに受け取りました」
おじいちゃんはそう言われると布を膝の上に置き、その布の上に転がっている二つのモノにそっと手を合わされた。
・・・え?
僕はその布の上に転がっているモノにぎょっとさせられた。
目だ・・・。
布の上に転がっているそれは目だった。
「驚いたかい?」
おじいちゃんはクスクスと笑いながらそう訊ねてくるとそれを再び布に包み、着物の袖の中へとそれを仕舞われた。
僕は黙って頷いてそれを仕舞われた方の袖をじっと見つめ見た。
目だった・・・。
間違いなく・・・アレは・・・目だった・・・。
「ずっと探していたんだよ。それを十時様が見つけてくれた」
おじいちゃんはそう言って嬉しそうに微笑まれたけれど僕は笑えなかった。
「この目はね僕の弟の目なんだよ」
「え? 弟さん・・・の?」
僕の聞き返しにおじいちゃんはコクリと頷かれて小さな寂しそうな溜め息を吐き出された。
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