謝る

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「はい。動いていいですよ?」 十時(ととき)さんは笑い気味にそうおっしゃられて僕の前から退かれたようだった。 僕は口を閉じ、目を開けて口の中の甘くて冷たいそれを飲み込んだ。 バニラアイスクリームだ・・・。 僕はキッチンの隅の壁にもたれ掛かって業務用アイスクリームを食べ続けている十時(ととき)さんをじっと見つめ見た。 十時(ととき)さんの表情は・・・無表情。 恐らくは何かを考えられているのだろう。 僕はこの頃ようやく、十時(ととき)さんの行動と行動パターンを理解しはじめていた。 僕は十時(ととき)さんの邪魔をしないようにできるだけ音を立てないように注意しつつ、調理の際に使った食器たちの片付けていった。 大体の片付けを済ませた頃、ふと十時(ととき)さんのご様子が気になって僕は先ほどまで十時(ととき)さんが居られたキッチンの隅へと目を向けた。 「・・・また離れへ行かれたのかな?」 目を向けたその先にはもう十時(ととき)さんのお姿はなく、食卓台の上には空になった業務用アイスクリームのケースと大きめなスプーンだけがポツンと残されていた。
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