歌と女

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歌と女

十時(ととき)さんのお宅を出て十分ほど歩いた頃、僕は変な歌を耳にした。 その場に足を止めた僕はその歌の聴こえてくる方へと目を向けた。 その歌の聴こえてきている方には一軒の白い立派な建物があった。 その建物はちょっと変わった屋根の形をしていて周りは木でできた塀で囲われていた。 そして、その門のところには何か文字が書かれていたけれど、それを僕は読むことができなかった。 「・・・なんて・・・歌なんだろう?」 僕はその歌の聴こえてきているその建物へと近づこうとした。 その時だった・・・。 チリっとした痛みが僕の胸元を襲った。 何かしら? 僕はその痛みの元を探るべく、着ている服の首元を摘まんで伸ばし、服の中を覗き見た。 石だ・・・。 すぐにそれが原因だとわかった。 『()(きし)』で出逢った雨月(うげつ)さんと言う人からいただいた『(まも)(いし)』。 その『(まも)(いし)』は萩月(はぎづき)さんからいただいた赤色の綺麗な小さな布の袋の中で中が透けるほど強く、輝いていた。 僕はその『(まも)(いし)』の入った布の袋を首に下げて毎日を過ごしていた。 言われた通り『肌身離さず』に・・・。 「・・・どうして・・・光ってるんだろう?」 僕はそう呟いてふと視線を上げた。 もしかしたら・・・。
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