ピンクのリボン

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ある日友人のAが言った。 「あのさ、ピンクのリボンが道端の木に結んであるの見たことある?」 「テープみたいなの?山道とかの木に結んであるやつ?あれは伐採の目印らしいよ」 「住宅街の木なんだけど……いくつもいくつも結んであるんだ」 「まあそれも目印じゃないの?工事とかの」 Aは納得したようには見えなかったがそれっきり黙ってしまった。 Aはその頃から急に少食になって学食に行って何か頼んでも ほとんど手も付けずただぼんやりと座っていることもあった。 「あれ?食べないの?」と聞くと 「うん。何か食欲なくて……」とA。 Aは見る間に痩せていった。 ほどなくAは大学にやってこなくなった。 気になってLINEしても既読にならず電話に出ることもなかった。 家まで行ってみようと思っていた矢先にAの自宅から着信があった。 Aの母親からだった。 「実は昨夜 … …Aが、Aが……」 母親が涙声で話したのはAが自室で死んでい たということだった。 大学に来なくなってから1か月あまり、Aはほとんど自室に引きこもっていたらしい。 取り乱したAの母親の話は要を得ず結局僕はAの家まで行くことにした。
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