ピンクのリボン

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Aの自宅に行くと母親が泣きはらした目で迎えてくれた。 Aは自室で亡くなっていたがその原因がよくわからないと言うことで 不審死扱いとなり遺体解剖になるらしかった。 「Aはずっと部屋に閉じこもっていてそのうちに食事もほとんど取らなくなって…… すごく痩せて、でもお腹だけはぽっこり膨らんでいて。まさか死ぬだなんて……」 Aの部屋も見せてもらったが特に変わった様子もなかった。 ただ何となく部屋の中がじっとりと湿っぽい気がした。 母親を励ます言葉も見つからないまま僕はAの家を後にした。 その帰り道、バスから住宅街を見ていた僕は街中のピンク色の物に気が付いた。 「……ピンクのリボン」 Aがそんなことを言っていたと思い出した。 でもそれがAの死と何か関係があるのかどうかもわからなかった。
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