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その夜僕はAの夢を見た。
Aは薄暗い自室のベッドの上で苦しそうに呻いている。
痩せ細ったAは泣きながら口からピンク色のリボンを引っ張り出していた。
えづきながら泣きながら苦しそうに必死でリボンを口から吐き出すA。
反射的に飛び起きた僕は得体のしれない恐ろしさに身をすくめた。
よく眠れないまま朝を迎えぼんやりとした頭で僕は大学へと向かった。
バスに揺られつつ何気なく窓の外を見るとピンク色の物が目に入った。
……ピンクのリボン、Aの言っていたのはこれのことだったのか?
バスが走り抜ける街角の木には必ずどこかにピンクのリボンが見えた。
僕はAが泣きながら口から吐き出したピンクのリボンを木に結びつけている姿を想像して身震いをした。
僕はその日から急に食欲がなくなっていった。
ただ腹だけはポッコリと膨らんでいた。
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