恋を知らなかった

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 恋なんかしないまま、でも、微かに恋に憧れながら1学期が過ぎて夏休みになった。  火曜日の昼下がり。外は晴天。茹だるような暑さ。友達と会う約束も無いし、こんな日に外になんか出たくない。  暑いが腕の傷を隠す為に常に長袖を着ている。   リビングで一人棒付きアイスを舐めながらだらしなくソファーに寝転んだ。親が居たら注意されただろう姿。  扇風機を付けてはいるが、暑い。こんな中で勉強をしようにも集中が出来ないからやらない。  退屈故、特に観たい番組がある訳ではないのにリモコンを掴み、電源を入れた。  ワイドショーがやってる時間だった。  何となくテレビ画面を観ている。集中させるような内容ではない。とある議員の失言、有名人の不倫。興味が無い。  食べ終えたアイスの棒を捨てようと立ち上がった時、テレビ内容が物々しくなった。  速報 隣人の夫婦を殺害した男を逮捕、とある。  嫌なニュースだ、と思いながら亜玖留はテレビを見たら、丁度殺人者の男が警察に捕まってる様子が映った。  その男を見て、亜玖留の心は衝撃を受けた。
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