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坂原探偵事務所は今日も平和な時間が流れていた。
テレビニュースが付いている中、凛久が坂原に相談していた。
「坂原さん、ちょっと聞いてください」
「んー。どうしたの?」
ソファでコーヒーを飲みながら気の無い返事をする坂原に苛立ちながらも凛久は話す。
「昨日聞いた話なんですけど、私の友人の彼氏が行方不明なんです」
「行方不明?」
坂原は少し興味を持ったように凛久を振り返る。
「ええ。2,3日連絡が取れないそうなんです」
そう凛久が話すとまたどうでもよさそうにテレビに顔を戻す
「2,3日?それで行方不明は言いすぎなんじゃないの?」
「でも自宅にも帰って無いみたいで」
「大学生でしょ?2,3日で家帰らないなんて普通にあるんじゃないの?」
「え。坂原さんはそう言う学生だったんですか?」
そう凛久が問うとまた顔をこちらに向けてばつの悪そうな顔をする。
「いや。俺はそうでもだけど・・。周りがさ。まあ乗せられてさ」
「何言ってるか分かりませんよ。坂原さんの周りって、みんな医学部だったんじゃないんですか?」
「医学部の学生だからって真面目とは限らないだろ」
坂原は高校時代からの腐れ縁が3人いる。4人は同じ大学に進み坂原以外は医学部を選択して現在は坂原探偵事務所からほど近い水野医療センターで働いている。
「なんで俺。特に儲からない探偵なんて仕事選んだんだろ」
そんなことを呟く坂原を、凛久が呆れて見ているとニュースから速報が流れてきた。それを見ていた坂原は急に顔色を変えた。
「・・・おい。嘘だろ」
「どうしたんですか?」
「温田が殺された?」
ニュースでは温田という男が殺されているのが見つかり、既に犯人は自首してきているという内容が放送されていた。
「温田って誰ですか?」
「情報屋だよ。水野の繁華街では名の知れたね。表向きは汚い占い屋だ」
「情報屋なら殺されることも」
「いや。あの男はだらしないけど、自分の身を守ることに関してだけはきっちりしていたけどな」
坂原は難しい顔をしながら立ち上がる。
「ちょっと出かけてくる」
「え?どこ行くんですか?」
「占い小屋。馴染みの受付嬢がいるんだ」
「え、私の相談は?」
「2,3日でしょ。もう少し様子見なよ。」
坂原はそう言い残して出ていってしまった。凛久は仕方がないと思いつつも少し残念に思いながら事務所を出た。
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