悪夢の再来

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「それで、温田のこと聞いても良いですか」 「俺は警察の人間だぞ。答えられないことには答えない」 「温田は僕の知り合いです。やり手の情報屋でした。」 「ああ。捜査で驚いた。法に触れずにあそこまで出来る姑息な男がいたもんだ」 「どうしても、あの温田が口論して殺される人間だとは思えないんですよ」 「人間、時としてどんな行動をとるかなんて予測出来るもんじゃないぞ」 「・・どうして即日逮捕だったんですか?」 「自首してきている人間がいたんだ。当然だろう」 「それにしても。捜査が杜撰すぎませんか?何かあるんですか」 そう問われて深川は黙る。否定するわけでは無く黙った。それが返答だった。 「あるんですね」 「とにかく。警察としてはこの事件はもう終わったんだ」 「終わったって。死んでいる人間がいるんですよ。それを簡単に終わったって。・・深川さん、有住事件を忘れたんですか」 「・・忘れかけているな」 「忘れないでください。警察が犯した罪を。隠ぺいを。また同じようなことを繰り返すんですか。罪のない人間を苦しめて、威信を守る。それが一体何になるんですか」 「もうこれ以上、冤罪なんかで傷をつけるわけにはいかないんだ」 「寝ぼけたこと言わないでください。深川さん事件の時に気づかれたんですよね。警察の威信なんてくだらないって。だったら、協力してください。僕が温田の死の真実を知るために」 深川は黙っていたが拒否はしなかった。しばらく黙って酒を呑み、再び会う約束を交わして別々に店を後にした。
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