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「〈あまりに長い間少年でいるために少年であることを忘れた少年〉じゃよ」
番人が言いました。
「彼がわしの相棒。幽霊じゃ。変わり者に見られるのが嫌なようでな、あまり人前には出ないんじゃが。ようやく君の前には現れる気になったようじゃ」
信じられない目をしたアメリに微笑んで、番人はアメリを家のなかへ促しました。
「君も一緒に、お茶はどうだね、永遠の少年」
少年はぴくりとも動きませんでしたが、やがてゆっくりと消えていきました。
丸太のテーブルがひとつ、そのうえには帆を揚げる船の彫刻をてっぺんにあしらったランプが、やわらかな光を放っています。そして壁際の水瓶とストーブ。番人の質素な家は落ち着いていて、アメリによくなじみました。毛羽立った木肌のイスに着いた時、アメリは、丸太柱に寄り添い傘をさして、少年が立っていることに気づきました。
「あなた本当に幽霊なのね」
少年はやっぱり動きませんでした。
「彼はずっとここにいるの?」
アメリは番人に尋ねました。
「そうじゃね、傘をさして。雷に打たれて幽霊になってから、ずっとこの辺りにいる。反応はないが、ちゃんと話は聞いているようじゃ。チェルシーおばさんやメリンダには、内緒じゃよ」
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