アメリの憂鬱

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光がひとつ、橋を渡って行きました。四方に弧を描いて光は波を放ち、やがて空に届きました。その間に風見鶏が大層忙しく羽ばたいて、色んな方角を向きました。空がオレンジ色に染まれば、風見鶏はついにコケーッとひと声鳴きました。オレンジに紅梅が、紅梅に瑠璃が、そして輝く銀が混沌とまざって、暁の空は月をも染めていきました。 羊たちは草を食みながらもめいめいに顔を上げ、山々が朝の光に包まれていくのを眺めていました。輝く山際に、鳥の群れが飛び立ちました。小さな影が幾つも、羊のうえに乱れました。それは目の霞んだ羊のための、おぼろげな目覚ましでした。 それを全部、アメリは見ていました。冷たい窓に身をもたせて、どんなに長い間、見つめていたかわかるでしょう。この素晴らしい世界を、美しいアメリがどうして悲しく臨むのか、その切なる眼差しの意味はわからなくても。 「鳩が来ない」 アメリは呟きました。毎朝、目が覚めると白い封筒をくわえて、その嘴に、月に一度は小包だってくわえて、鳩は窓辺に降り立ったのに。 冒険家のパパ。勇敢なパパ。まさか娘を忘れてしまうような、夢の風に吹かれてしまった? 「今日で七日だわ。最後に届いたアビーの花が、枯れてしまう日」 朝の音を封じ込めるように、アメリは窓を閉じました。
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